「ミュージカルには興味あるけど、何から観たらいいかわからない」「最初はどの作品が入りやすいの?」と、なかなかミュージカルに触れる機会を持てない方も多いのではないでしょうか?
ミュージカルが好きかどうかもわからないのに劇場に行くのも怖いですし、好きかどうかを知るためにミュージカル映画を観てみるにしても、たくさんあるミュージカル作品の中で、まずはどれを選べば良いのか迷うと思います。
初めて観るミュージカルとして、私は映画『グレイテスト・ショーマン』をおすすめします。
ここではミュージカル大好きな私が、グレイテスト・ショーマンの魅力についてご紹介していきます。
これを読んでもし興味を持たれたなら、ぜひ一度ご観賞ください。
もしかしたら、新しい世界へ踏み出すきっかけになるかもしれませんよ。
この作品も含めて、映画で楽しめるおすすめミュージカル作品を下記のページでまとめてご紹介しています。
ぜひ他の作品もお楽しみください。
グレイテスト・ショーマンって?
ミュージカルを観たことがない方でも、ナンバーのいくつかは知っているのではないでしょうか?
「The Greatest Showman」は冒頭の「Wow〜♪」やサビの部分がよくテレビのBGMに使われていますし、「This Is Me」はビールのCMにも使われています。
ここでは2018年に公開され、ヒュー・ジャックマン主演で話題となった映画についてご紹介します。
あらすじ
19世紀アメリカ。
貧しい仕立て屋の息子として育ったバーナムは、良家の令嬢チャリティと出会います。
花嫁学校へ行かされると落ち込む彼女に、「バーナムは空想の世界でなら、誰にも邪魔されずに色鮮やかな夢の中で自由に生きられる」と話すのです。
チャリティは「あなたが描く夢の世界へ私も連れて行って」と告げ、長い期間にわたる文通の末、父親の反対を押し切ってバーナムと結婚します。
貧しくとも二人の娘と共に、暖かい家庭を築いたバーナム。
でも、彼の心は満たされていませんでした。
子供の頃に描いた夢の世界を実現できていないこと、裕福で何不自由なく育った妻に苦労をかけてばかりいること。
そんなある日、勤めていた会社が倒産。
バーナムは解雇されてしまいます。
どさくさの中で、彼は沈没した船の登録証をこっそりと持ち出し、それを担保に銀行から融資を受けることに成功。
バーナムは、これまで世間から隠れるように暮らしてきた特別な人々を集め、サーカスを始めることを思いつきます。
バーナムのショーはあっという間に人気を集め、一家は裕福になります。
一見成功したように見えた一家でしたが、上流階級の人々からは「成り上がり」という評価。
バーナムは、更なる成功と名声を求めるようになります。
バーナムは人気劇作家のフィリップを仕事のパートナーに口説き落とし、ヴィクトリア女王に謁見し、オペラ歌手のジェニーと出会います。
彼は妻と娘たちを上流階級に認めてもらうことに必死になりすぎて、やがて妻チャリティや娘たち、サーカスの仲間たちと心が離れていってしまうのです。
バーナムが突き進んだ先に、何を得たのか。
人生において本当に大切なものは何か。
身分や人種、外見により、差別され抑え込まれた人々の苦悩と闘いを描きながら、人間の本質的な価値に気づかされる物語です。
主な登場人物
P・T・バーナム
貧しい仕立て屋の息子として育ち、良家の娘チャリティーと結婚。貧しい生活の中で、サーカスをはじめとする事業を起こし、上流階級への強いコンプレックスのもと、名声と称賛を求めて奔走する。
フィリップ・カーライル
人気劇作家。バーナムに仕事のパートナーとして口説かれる。
チャリティー・バーナム
P・T・バーナムの妻。良家の出身であるが、父の反対を押し切って貧しい夫と結婚。夫と2人の娘との温かい家庭を築き、貧しくても幸せを感じている。
ジェニー・リンド
スウェーデンのオペラ歌手。その歌声は欧州一と評されており、バーナムは彼女をアメリカへ招きソロコンサートを企画する。
キャロライン・バーナム、ヘレン・バーナム
P・T・バーナムの2人の娘。
アン・ウィーラー
空中ブランコの名手。フィリップは彼女に一目惚れする。
レティ・ルッツ
髭の生えた女性。バーナムにスカウトされ、サーカスへ出演することになる。
見どころ
パワフルなナンバー
出演者全てが、パワフルな歌唱力を発揮しています。
勇気をもらえるような力強いナンバー、鳥肌が立つほど美しいナンバー、二人の心が交わっていくのを感じるデュエット。
個々のナンバーが独立していますから、観賞後も移動中などに聴きたくなり、サウンドトラックが欲しいと思うかもしれません。
ダンスもキレッキレで見応え抜群です。
個性的なキャラクター
バーナムの周りにはあらゆる身分や人種、そして特異な見た目をもつキャラクターが登場します。
彼ら彼女らの苦悩とそこから立ち上がる強さを見て、あなたも勇気をもらえるはずです。
あの金子みすゞさんの有名な詩に出てくるフレーズ「みんなちがって、みんないい」を、この作品でも感じられると思います。
ここで余談ですが、皆さんに紹介したいエピソードがあります。
代表的なナンバー「This Is Me」でメインボーカルを務めているレティ・ルッツ(髭の生えた女性)役のキアラ・セトル。
彼女がレティ役にキャスティングされた決め手となった、ワークショップ・セッションを捉えた映像があります。
彼女はこのとき、マイクの前になかなか出ようとしませんでした。
キアラは後にその理由をこう話しています。
「この歌の中のストーリーを語るためには、自分が抱える恐れに直面しないといけないとわかっていて怖かった」と。
彼女はマイケル・グレイシー監督に「リングに出てこないとダメだ。堂々とありのままでいようと歌っているんだから」と彼女を説得します。
彼女は恐る恐るマイクの前に。
そして彼女が歌い出した瞬間、空気は変わりました。
この歌のストーリーを全身で歌い上げるキアラ。
「世間から“お前は愛される価値がない”と言われても、自分を愛し、自分に自信を持って心の誇りは失わない」と。
「見られても怖くない、謝る必要もない、これが私」「勇気もある、傷もある、ありのままでいる、これが私」と。
「私にも愛される資格がある」と。
歌いながら、彼女は怖くなって座っていたヒューの手を掴みます。
歌のストーリーを自分に重ね、涙を流しながらもパワフルに自らを奮い立たせるように歌う様子は、ヒューをはじめ関係者全員の胸を打ちました。
彼女のレティ役へのキャスティングが決まったのです。
「誰か他の人があの曲を歌えるとは到底思えない」と。
“これが私だ!”と力強く歌う姿は、ワークショップ・セッションのときから変わりません。
「今でもこの歌を歌うのは怖い」というキアラ。
彼女が重圧を感じながらも、自分の魂の叫びのように歌うこの「This Is Me」は、“言葉の刃”で傷ついた私たちそれぞれの心の痛みに重なり、そして自分を奮い立たせる勇気をくれるはずです。
ヒューも「検索してみて」と訴えるワークショップ・セッションの様子はこちら↓
大切なものは何か
この作品は、華やかでパワフルな歌とダンスが注目されがちです。
もちろん、どれも見どころであることは確かです。
しかし私は、バーナムが「本当に大切なもの」に気づくまでのストーリーも見どころだと思います。
彼が理想を追いかけるほど周りが見えなくなっていく姿に、きっとあなたも「本当に大切なもの」は何なのかを考えさせられるはずです。
主なミュージカルナンバー
この作品のたくさんのミュージカルナンバーの中から、注目のナンバーを3つご紹介します。
他のどのナンバーも素晴らしいので、本当は全部ご紹介したいくらいなんですけどね。
The Greatest Show
この作品のオープニングとエンディングを飾るこのナンバー。
一気にP・T・バーナムのショーへ引き込まれるでしょう。
オープニングの観客が両足を床に打ち付けるシルエットの前で、ステッキとハットを操りながら踊るバーナムは本当にかっこいい。
素晴らしいショーを、観客と共に自分も観ている気持ちになります。
This Is Me
グレイテスト・ショーマンを語るのに、このナンバーは欠かせません。
「これが私!」と力強く歌い踊る姿に、そして自分の存在価値を認めて強くあろうとする姿に、誰もが胸を打たれるでしょう。
私もこのナンバーを聴くと、心も身体も震えます。
このナンバーのパワーは絶大です。
メロディーはもちろん、その歌詞に共感する人も多いはず。
誰にもある辛い経験や心の傷に重なって、自分も励まされるような気持ちになるのではないでしょうか。
そして歌とダンスだからこそ、心に響き渡るものがあると感じずにはいられないでしょう。
From Now On
これまでの自分を振り返るバーナムの小さなソロから始まるこのナンバー。
全てを失って、何が残ったのか。
それこそが本当に大切なものだと気づくのです。
自分が努力してきたのは誰のためだったのか。
ここでやっと気づくのです。
全てを失っても最後まで残ったものが、やはり本当に大切にすべきものなのですね。
「明日まで迷わない、今夜始める」という歌詞は、「明日からやろう」「いつかやろう」という気持ちを、「今始めよう」という気持ちにさせてくれます。
DVDやBlu-rayで楽しもう!
最初にご紹介したとおり、この作品は2018年に映画として公開されたものです。
ですから、そもそもミュージカル自体が好きかどうかわからず、いきなり劇場でミュージカル作品を観るのに不安がある方でも、まずはDVDやBlu-rayなどでご自宅で楽しむことができます。
この作品は現在は舞台化されていませんので、劇場で鑑賞することはできません。
しかし、「ミュージカル作品が好きかどうか」の一つの指標にはなると思います。
つまり、この映画を面白いと感じたり、途中に歌が入っても苦手だと感じなければ、あなたはミュージカルというジャンルが好きなのかもしれません。
いきなり劇場でミュージカルを観るのが心配な方にも、まずは手軽にミュージカルに触れてみたい方にも、そして何度も繰り返し楽しみたい方にもDVDやBlu-rayはおすすめです。
その他の視聴方法
DVDやBlu-rayの他に、動画配信サービスを利用するという方法もあります。
動画配信サービスで試しに観て、気に入ったらDVD等の購入を検討すると、よりリスクを防げます。
私が利用して「便利だな」と思った動画配信サービスについて、少しご紹介させていただきますね。
Amazonプライムビデオも便利です
DVDやBlu-rayをいきなり買うのもちょっと躊躇すると思います。
そんな時は、Amazonプライムビデオでレンタルして視聴するのも一つの方法です。
もちろんレンタルショップで借りるという方法もあるのですが、ちょっと面倒臭かったりしますよね。
(私は面倒臭がりなので、DVD一本借りに行くのに支度して出かけるのは非常に面倒です。)
Amazonプライムビデオなら外出しなくてもすぐに視聴できますし、タブレットやスマホでも視聴可能です。
返却期限に遅れて延滞金を取られるなんてこともありません。
レンタルショップの旧作のレンタル料に比べると少し割高ですが、その分借りに行く手間と返却する手間が省けていると私は思います。
今回ご紹介した作品もレンタルできますよ。
※見放題対象作品でない場合は、Amazonプライム会員でも別途レンタル料がかかります。
Amazonプライム会員について
Amazonプライムに入会していない方は、この機会に調べてみてください。
月額の料金を支払えば「対象の映画・ドラマ・アニメが見放題」というだけでなく、Amazonでのお買い物時に「お急ぎ便・お届け日時指定便使い放題」などの特典も使えるようになります。
私は「見よう見よう」と思っていたけどなかなか見なかった映画や、レンタルショップで借りても返すのが面倒臭くて途中で見るのをやめていた海外ドラマなどを見て楽しんでいます。
自分のペースで見られるので、とっても便利でおすすめです。
気になる方は調べてみてくださいね。
それと後述しますが、プライム会員になると追加料金なしで「Amazon Music」が利用できるようになります。
約200万曲が聴き放題で、ミュージカルの楽曲も結構対象になっていますよ。
お聴きになりたい楽曲が対象かどうか、調べてみてくださいね。
テレビで視聴するなら
Amazonプライムビデオをテレビで観たい場合は、Amazonの「Fire TV Stick」がおすすめです。
Wi-Fi環境があればテレビのHDMI端子に差し込むだけで簡単に見ることができます。
YouTubeなどの他の動画サービスもテレビで簡単に楽しめるようになるので非常に便利です。
意外と画質も良くて、ストレスなく視聴できます。
お気に入りのナンバーに出会ったら
作品を観て好きなナンバーに出会ったら、サウンドトラックが欲しくなるかもしれませんね。
移動中や作業中にお気に入りのナンバーを聴けたら、毎日の生活がちょっと楽しくなるかもしれません。
私は好きなナンバーはずっと聴いていたくなってCDを購入しちゃうタイプなので、ここでご紹介しておきますね。
「CDは他の曲も入ってるし勿体無い」「かさばって収納場所の確保が難しい」という方は、先ほど少しご紹介した「Amazon Music」などの音楽配信サービスを利用するという方法もあります。
ただ、「Amazon Music」の場合はAmazonプライム会員なら誰でも利用できるのですが、対象の楽曲が約200万曲ということなので聴けない楽曲もあります。
対象でない楽曲も含めてもっとたくさんの楽曲を聴きたい場合は、「Amazon Music Unlimited」を利用するという方法もあります。
こちらの場合は、別途毎月料金のお支払いが必要ですが、定額で約7,000曲が聴き放題です。
この作品のサウンドトラックも他のミュージカル楽曲も、もちろんJ-POPや洋楽だって聴き放題です。
ダウンロードも1曲数百円かかるのを考えれば、色々な曲を聴くならやはり定額はお得です。
CDを入れ替えたり、転送したりする手間なく、たくさんの楽曲を好きな時に好きなだけ聴けるというのは本当に便利ですよね。
気になる方は調べてみてください。
ただし、Wi-Fi環境でない場所で聴く時は通信料にお気をつけくださいね。
インターネット接続なしで聴けるオフライン再生のサービスを利用するといいと思います。
因みにこの作品の場合、今のところプライム会員なら追加料金なしの「Amazon Music」で聴けます。(※2021年2月現在)
まとめ
『グレイテスト・ショーマン』は、ミュージカル作品の中でも個々のナンバーが独立しており、初めてのミュージカルでも比較的入りやすい作品です。
鑑賞後は、お気に入りのナンバーをもう一度聴きたくなるでしょう。
もしこの作品が気に入ったなら、ぜひ他のミュージカル作品にも挑戦してみてください。
思い切って実際にチケットを取って、劇場で生の舞台を鑑賞したなら、きっとあなたの世界は一気に広がりますよ!
この作品も含めて、映画で楽しめるおすすめミュージカル作品を下記のページでまとめてご紹介しています。
ぜひ他の作品もお楽しみくださいね。
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